誰も知らない「島ぐるみ会議」の危険性

最初から「辺野古移設は止められない」とわかっていた!

「島ぐるみ会議」事務局次長の島袋純教授は、2014年12月20日、法政大学において「”アイデンティティ”をめぐる戦い―沖縄知事選とその後の展望―」と題する講演を行いました。前月の沖縄県知事選(11月16日投開票)で翁長知事が誕生してから、わずか1カ月後のことです。

島袋教授は講演の中で、今後の辺野古の戦いについて、次のような見通しを明らかにしました。

 今後、辺野古基地建設に向けて、

①翁長知事による取り消し・撤回

②国による訴訟

③迅速な最高裁による国側勝訴判決(最高裁は一政府機関である)

④裁判所による職務執行命令

⑤国による強制代執行、と続くシナリオが考えられる(7か月~1年のプロセス)

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繰り返しになりますが、この講演は、翁長知事が誕生した直後、昨年の12月になされたものです。「島ぐるみ会議」は、結局は国が勝訴して、辺野古の移設工事は止められないことを、最初からわかっていたことになります。

翁長知事誕生から、まもなく1年。ここへきて知事はようやく、埋立の取り消し・撤回(①の段階)に着手したわけですが、これもパフォーマンスに過ぎない。キャンプシュワブの前で反対運動をしている活動家たちからも、「知事はなぜこのようにズルズルと時間を引き延ばすのか」「本当に基地建設を止める気があるのか」という声が上がっています。

翁長知事は、「辺野古に基地はつくらせない」を公約に掲げて当選しましたが、いったいどのような方法で、それを実現するつもりだったのでしょうか。できないことを「できる」と、大風呂敷を広げていたのではないでしょうか。有権者に対して、知事には説明責任があります。

 

昨年12月の法政大学の講演で、島袋純教授はほかにも、次のように述べています。

「建白書」を実現するための「島ぐるみ会議」は、組織ではなく、市民が主導するものとして創設された。基本的人権と自己決定権を主張するものであり、日本への陳情でも要請でもない。

■日本の「再植民地化」に対して大手メディアと国民は黙認・支持し、さらに、総選挙勝利により、この方針は正当化されている。それでは、沖縄が再び立憲主義を引き取り、社会をつくりかえていくしかないだろう。

■沖縄は、こうして抑圧される人権保障のための国家の権限を、上と下から移譲していく。

■上は、国連や国際法による立憲主義的な介入である(沖縄差別に関し、国際人権委員会や国連人種差別撤廃委員会による日本への所見・勧告が出されている)。

■下は、先住民族・マイノリティの主権者としての権利回復である。内的自己決定権の制度化であり(外的=独立ではない)、そのひとつの例がスコットランドである。スコットランドの「権利章典」は、沖縄の「建白書」に似ている。

■今後、憲法改正がなされれば、それは立憲主義の否定、国際立憲主義からの脱落を意味するだろう。国民の権利、行政の透明性、環境アセスメント、すべてが時代に逆行してしまう。

■ところで、スコットランドは属地主義(スコットランド人になる意思を重視し、一定基準のもと住んでいる人が選挙権を持つ。社会契約的な考え)、日本は血統主義(血縁によるつながり)を原則とする。

島袋教授は、島ぐるみ会議は、「基本的人権と自己決定権を主張する」ために設立された団体であると、明らかにしています。基地問題を人権問題にすり替え、「自己決定権」「先住民族」という独立運動の概念を辺野古闘争の柱に据えた“主犯格”は、どうやら、かねてより「琉球独立」を主張していた島袋純教授だったようです。

島袋教授の講演要旨は、こちらのブログから閲覧可能。(→ http://blog.goo.ne.jp/sightsong/e/f114f12ebc508b8c43b41c85bed7b0fc )

Web魚拓 → http://megalodon.jp/2015-1102-2015-50/blog.goo.ne.jp/sightsong/e/f114f12ebc508b8c43b41c85bed7b0fc

島ぐるみ会議は、どのようにしてできたのか

島袋純教授は今年6月、関西・沖縄戦を考える会の第4回総会において、次のような講演を行いました。講演録は「関西・沖縄戦を考える会」のサイトで公開されています。かなりの長文ですが、大変重要な論点が含まれていますので、ご一読をおすすめします。本サイトでは、そのうち重要な部分のみを抜粋してご紹介します。

(関西・沖縄戦を考える会 → http://okinawasen.main.jp/archives/112 )

※Web魚拓 http://megalodon.jp/2015-1102-2158-32/okinawasen.main.jp/archives/112

 

「島ぐるみ会議」設立の経緯(2015.6.12 島袋純教授の講演より一部抜粋)

( http://okinawasen.main.jp/archives/112 より抜粋)

2015_06_12_shima_1私は、沖縄自治研究会の発起人として国際人権規約に基づく自己決定権の基盤の上に自治政府を作るという沖縄初の提案に関わりました。

さらに沖縄道州制懇話会の沖縄単独州案や県議会経験者の会の結成趣旨文などに関わっていましたので「権利章典」的宣言文は非常に重要であることを主張してきました。「沖縄人権宣言」的な決議文を沖縄県議会で作る必要があると永年思ってきました。

沖縄は1962年当時の議会にあたる琉球立法院において、現在の翁長雄志知事の実父である翁長助静議員を中心に、1960年の国連の「植民地独立付与宣言」の文言を引用して、沖縄の植民地状態から解放していくべきだ、という決議文を採択し、国連や世界各国に送ったことがあります。それに劣らないような権利宣言の決議文を作って議決してほしいということで、宣言文の要点を箇条書きにした文案を作成し、私は知り合いの数名の県議会議員に要請しに行きました。

その時、県会議員の方々は、「建白書」の実行委員会は解散しているので、「建白書」以外に、「権利章典」をつくるのは不可能だ、と言いました。建白書を活かすような形のものがいいのではないかという返事をいただいたのです。さらに建白書の実行委員会の保守系の方々にも働きかけた方がよいという助言もいただき、市長会会長、市議会議長会会長にも文案をお見せしにいきました。

設立趣旨に「オスプレイ反対」だけではなく「自己決定権確立」を加えてほしい

同時期ですが2013年10月、沖縄平和市民連絡会で講演をした時、オスプレイ配備反対等の「建白書」も重要であるが、それに加え自己決定権を確立するための「権利章典」の二つを並べた形で確立することはできないか、「建白書」と「権利章典」が一緒になった形のものができないかということ話したのです。

市民連絡会講演会の後、新崎盛暉さん、伊波洋一さん、城間勝さんなど、何人かの人の話し合いの中から、オール沖縄の形で、「建白書」の実現を目指すというものができるのではないかということになり、オール沖縄再結集のための呼びかけ文書をつくりました。

私は可能な限りその文書を「権利章典」(人権宣言)的な文書にしたかったので、その方向で意見を述べたたき台の一つを書きました。そしてその文書をもとに県議会議長に働きかけをしました。その時の文書が、島ぐるみ会議結成の際の「オール沖縄」再結集の呼びかけ文の原案の一つとなっていったのです。

 

玉城義和県議と島袋純教授が中心となって「島ぐるみ会議」設立

そのような経緯の中で、建白書の実行委員会の事務局長だった玉城さんから、オール沖縄的な取り組みの再結集準備のための有志を集めているという段階で、私の方にお声がかかったというように理解しています。

準備のための有志の集まりで、組織の作り方としては、一般市民を会員としてできるだけ多く募って典型的な運動にしていくことにしました。

とくに重視した点は、「建白書」の要求を実現する、永続的で広範な運動体を作っていくことで、目先の選挙戦や政党間の政治的争点などに利用されないようにすることでした。県知事選挙も近づくなか、現職議員は外して、一般的な著名人を発起人として募り結成準備をしていくことでした。

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「島ぐるみ会議」の目的

オスプレイ配備強行と辺野古基地建設の強行、弾圧などの差別政策は、沖縄の人々の基本的な人権及び自己決定権の侵害であるということ、社会正義の抹殺であるということを明らかにして、その権利の回復を要求していくこと、正義を実現していく、つまり辺野古新基地の建設を阻止していくこと、これが「沖縄建白書を実現し未来を拓く島ぐるみ会議」の目的です。

国連は「独立」を推奨はしないが、沖縄が「内的自決権」を有する存在であることは認めてくれる

国連は主権国家の連合組織ですから、「自己決定権」があるからと言って、主権国家の国境の変更(独立すべきだというようなこと)を推奨するようなことは言いません。しかし、「自己決定権」というのは主権的な権限であるということは当然の前提で、独立しなくても、“内的な自決権”という政治的地位を決める権限を有するということ、経済的・社会的・文化的発展の自由があるということです。それを認めたうえで協議の場を設けなさい、ということを述べているのです。

※編集部注:植民地等の従属人民が独立を達成する権利を「外的自決権」、自らを代表する政府をもつ権利を「内的自決権」と呼ぶ。

沖縄には「自己決定権」がある

2015_06_12_shima_5沖縄社会を自ら構築していく権利は、沖縄の人々にある。それは、国際人権規約の第1条にも定められている自己決定権を沖縄はもっているのであり、オスプレイ配備の撤回、普天間基地の閉鎖、辺野古移設の阻止を実現する権利があるということの宣言であります。

経済的、社会的及び文化的発展の自由を自ら追求していく権利、及び政治的地位の自由な決定を自己決定権により実現していくという宣言です。

(中略)このような権利は沖縄の人にだけあるのではなく、アイヌの人、部落の人にも保障されているものです。沖縄では「先住民」という言い方はあまり支持されていませんでしたが、いま構造的に差別された少数派として共通意識化されています。構造的に差別された少数派は国際法で自己決定権の資格を持ったものになりうるのです。

国連のさまざまな委員会で出された人権に関する勧告というものを沖縄は取り込んでいく国際立憲主義、それを国内で実現していくために日本全国の立憲主義的な運動と共有し連帯していくことができるのではないかと考えているのです。「島ぐるみ会議」のめざすところとは、このようなところにあるのです。

(以上、2015.6.12「関西・沖縄戦を考える会」第4回総会における島袋純教授の講演より)