これが噂の「琉球独立宣言」!

9月21日、ジュネーブの国連人権理事会で登壇した翁長雄志・沖縄県知事は、演説に先立ち、市民団体が主催するシンポジウムに参加して、市民団体代表とともに講演を行った。

今回、知事に発言枠を提供した国際NGO、「市民外交センター」の上村英明代表は、このシンポジウムで記者団に対し、「翁長知事の発言を補足説明する」と前置きしたのち、「沖縄の自己決定権」について語り始めた。

※シンポジウム映像はこちら
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/266005

※9月10日:沖縄県庁で翁長知事と打ち合わせをする上村教授(左から2人目)(恵泉女学園大学HPより)

上村代表のスピーチの内容は、琉球独立学会代表である松島泰勝教授の近著『琉球独立宣言』の主張と近似しており、松島教授の提唱する理念、独立への道筋、そのものを上村代表が、ある意味で代弁する形となっていた。

松島泰勝教授

※『琉球独立宣言』(講談社、松島泰勝・著)(2015/9/15発行)

今回の翁長知事の国連演説は、何も事情を知らない一般国民にとってはいささか唐突に感じられたかもしれないが、琉球独立運動家たちにとっては、それこそ20年来の悲願であり、地道に国連でのロビー活動を重ね、準備に準備を重ねてきた結果であり、そしてこれが彼らにとっては本当の独立運動への第一歩に過ぎないのである。

知事の今回の国連登壇の背景を読み解く材料として、興味関心のある方は、上村代表のシンポジウム映像とあわせて、松島泰勝氏の『琉球独立宣言』をぜひご一読されることをお勧めしたい。

 

戦後、独立を遂げたアジア諸国と同様、本来は沖縄も「日本の植民地」と国連の認定を受け、解放されるべきだった

『琉球独立宣言』より引用(太字、赤字は編集部による)

国際法でも民族の自己決定権行使による独立の可能性が保障されています。「独立」の場合は、過去そして現在の琉球が植民地であるという認識が前提になります。この状態から脱する手段として独立という選択肢が最も有効であると考えるのです。(P.85 )

「大東亜戦争」において日本は、アジア太平洋の海の上に「海の生命線」という、日本を守るための防衛圏を描きました。戦争になると大平洋の島々と同じように琉球も「捨て石」の戦場となりました。かつて日本政府の政治的、軍事的支配下におかれた島、半島、大陸地域のほとんどは戦後、独立しました。しかし琉球はまだ独立せず、その独立問題は未解決のままです。(P.88)

世界の他の植民地の人々は、支配と抑圧から解放されるために、国際法に基づいて「民族の自己決定権」を行使して、国連の協力をえながら住民投票を行い、独立を宣言し、他国の承認をもらうという、一連のプロセスを経てきました。琉球にはそのような機会も与えられませんでした。これは重大な国際法違反です。(P.119)

戦後、米政府は、琉球を国連の非自治地域(編集部注:非自治地域=植民地)リストに登録するという、統治国としての義務がありましたが、それをせずに軍事的専制支配を続けました。これは国際法違反の行為です。(P.109)

日本政府は琉球国を侵略して滅ぼし、現在まで植民地支配を続けています。琉球人に謝罪すべきです。同時に、3つの修好條約原本を元の持ち主である琉球に返却しなければなりません。(P,275)

 

琉球独立運動家は、沖縄を国連の非自治地域リストに登録しようと、長年、活動を続けている。第2次世界大戦終結時、国連は欧米列強の植民地を非自治地域に認定し、認定された地域は、その後、国連の監視下で独立の是非を問う住民投票が実施され、次々と独立していった。

沖縄もこの時、日本の植民地として非自治地域に認定されていれば、その後、ほかのアジア諸国と同じように独立を果たし、現在のようにアメリカの基地を押しつけられることもなかった……というのが、独立派の主張なのである。

 

琉球独立を可能にするのが国連憲章の「自己決定権」

独立は法的にも可能です。その法とは国際法です。国際法の基本法とも言える国連憲章、国際人権規約の最初に明記されているのが、「民族の自己決定権」の保障です。国連憲章の大前提が民族の自己決定権なのです。それが国連の加盟国が増えた一番の要因になりました。(P.106)

沖縄の政治的地位は未確定

「沖縄県」という政治的地位は、法的にも、国際社会からの認知という点でも確定しておらず、琉球人は新たな政治的ステータスを決定することができます。

琉球併合に清国政府は強く反対しており、その時の「沖縄県」も国際的な承認がえられた政治的地位ではありませんでした。日本政府が琉球を「暴力及び強欲により略取した」のですから、国際的に認められるわけがありません。

以上のような国際法に違反して、日米両政府は琉球を植民地支配してきたのです。国際法違反を盾にして、琉球は独立を主張し、国連、国際機関に訴えることができます。(P.119)

 

政府につきつけられた「独立カード」

日本政府がこのまま辺野古新基地建設を進めていくと、琉球は「独立」というカードを切って自らの道を歩もうとするでしょう。日本政府は「琉球」と「米軍基地」のどちらを選ぶのかが問われています。

琉球にある米軍基地の法的根拠は日米安保条約です。琉球が独立すれば同条約は琉球には適用されず、基地を撤廃することができます。(P.276)