まるっきり信用できない中国報道「ウイグルで住民3万人が協力し暴徒9人射殺」

8月2日付時事通信で、目を疑うようなニュースが小さく報道されていた。

新疆で暴徒9人射殺=「住民3万人が協力」と報道-中国

【北京時事】中国の国営新華社通信(電子版)は1日夜、新疆ウイグル自治区ホータン地区モーユー県で同日、警察当局が爆発物を投げ付けた暴徒グループ9人を射殺し、1人を拘束したと伝えた。警察や住民に死傷者はいなかった。
新華社電によると、警察当局は7月27日、住民からの通報に基づき、「テログループ」を突き止めた。警察当局は1日になり、情報を聞き駆け付けた3万人以上の住民と協力し、暴徒を包囲、拘束しようとした。その後暴徒が爆発物を投げ付けたという。新華社電は容疑者の身元などを伝えていない。(2014/08/02-00:00)

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201408/2014080200001

新疆ウイグルで「暴徒」10人が逃走し、うち9人を警察が射殺。テロリストらを追い詰める際、ウイグル人住民3万人が武装警察に協力した、というのである。

この中国の報道発表がまったく信用できないことを、日本在住のウイグル人で、国際ウイグル人権民主財団 日本全権代表 トゥールムハメット氏が見事に喝破している。

それが、ここにご紹介する動画だ。

http://youtu.be/pd8vuD5wzaY

 

中国の発表が、まったく信用できないことが、この報道ひとつをとってもはっきりわかる。

 

中国が「暴徒」「テロリスト」と呼ぶ10人(うち9人は武装警察により射殺)は、どこにでもいる平凡な家族だった。彼らはホータン特産の「クルミ」の木を栽培し、その収入で生計を立てていた。

 

この家族の住む土地に、中国当局が「中華街」を建設するために、この家族らに強制立ち退きを迫った。樹齢何十年ものクルミの畑を手放せば、明日からどうやって暮らしていけばいいのか?この家族が立ち退きに抵抗すると、中国共産党は彼らを「テロリスト」と呼び、周辺住民に「おふれ」を出して、この家族の逮捕に協力するよう求めた。

 

「住民3万人が協力」とあるが、実際には、警察に協力して、この家族らの捜索に加わったふりをしなければ、その住民が反逆罪で拘束されてしまう。住民らは、逃亡している10人の捜索に「かり出された」だけであって、そうしなければ自らの身を守ることもできないのが、今、ウイグルが置かれている状況なのだ。

 

その証拠に、トゥール氏が明かした話によれば、この家族の捜索にかり出された住民たちは、実は畑に隠れていたこの家族らに食料をそっと渡したり、かくまったりと、多くの住民が中国の目を逃れてこの家族を助けていたのだという。

なんとか逃げ延びてほしい────と、多くのウイグル人が逃亡に手を貸していた事実は、日本のマスコミは全く報道していない。

 

このように、中国の発表は事実と異なる点があまりにも多く、まったく信用することができない。

にもかかわらず、日本のマスコミは中国側の発表をそのまま垂れ流し、ウイグル人側への裏付け取材をほとんど行ってこなかった。

海外のメディアは、中国の発表を鵜呑みにすることなく、現地への電話取材などを行って、公平中立な報道をする傾向が強い。

日本にも、トゥール氏のように、ウイグル人の人権問題について精力的に活動しているウイグル人が、数多く暮らしている。ぜひ彼らの主張にも耳を傾け、何が真実なのかを見極めて、国民に正しい情報を提供してほしいものだ。